「和装旅」の提案
奈良県桜井市の長谷寺で先日、桜を愛で、着物に身を包んで境内の多くの文化財に触れるユニークなツアーに参加した。男性の参加者が多かったのだが、ほとんどの人がこれまで着たことのない着物にすっかりはまり、和装に雪駄のいで立ちで境内を散策する心地よさに魅了された。腰痛持ちの筆者にとってはキリッと腰に巻いた帯がコルセットの役目を果たし、歩き回っていても苦にならない、という発見もあった。
後日、このツアー企画者から「今度は奈良公園内にある奈良国立博物館併設の庭園で支度し、着物姿で奈良公園周辺を散策なさいませんか」との案内をもらって、着物にはまった男数人で出かけ、それぞれ着物を買うまでに至った。
なぜ、ここまで着物に魅了されたのか。まず、着物を着て歩くと、まちなかの建物や景色の見え方が変わる。食べ物も美味しくいただける感じがする。きっと普段より背筋が伸びるからだろう。そして、何よりも日本文化の象徴と言われる着物に身を包むという異日常な時間に身を委ねる行為が心地いいのだと思う。
今回の着物体験を通して思ったことは、和装と旅の親和性の高さだ。異日常を身にまとい、異日常な空間を楽しむ。凛として地域文化に浸り切る新たな体験ツアー造成を呼びかけたい。
(トラベルニュースat 21年5月25日号)
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