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職場接種を考える

21/06/10

全国的に大規模接種会場での新型コロナウイルスワクチンの接種が始まり、加えて大企業などの「職場接種」も行われるようになってきた。コロナ禍から1年以上が経過し、少し明るい兆しが見え始めてきた。

我々の業界でも愛媛県松山市の道後温泉の旅館組合や兵庫県豊岡市の城崎温泉では、従業員らへの職場接種を行うことを決め、マスコミなどにも取り上げられた。山代温泉や山中温泉を擁する石川県加賀市も8月までに接種完了を目指す決起大会が開かれるなど、同様の職場接種が行うところが相次いでいる。接種によって「安心・安全な温泉地」としてPRすることになり、観光客に安心して来ていただこうという狙いがあるだろうし、沈滞ムードの観光業に少しでも復興の兆しが見られることは喜ばしい。

しかし、全国の温泉観光地で一律に職場接種が行われ安全・安心をPRできたらいいが職場接種ができないところはどうなるのだろう。「あの温泉地は職場接種ができていないから安全ではないかもしれない」ということにはならないだろうか。

ある旅館組合の若い理事長は「安全であるという治験が明らかでないのに、従業員への呼びかけはできない。責任を感じる」と話しており、職場接種が観光復活の足かせにならないか危惧している。

(トラベルニュースat 21年6月10日号)

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