県民割で築く一里塚
新型コロナウイルスのワクチン接種が進み、閉塞感に覆われた社会にようやく光が差し込んだか…と思っていたら、ワクチン不足が発覚。またもや沈滞ムードに逆戻り。一体この国の感染症対策はどうなっているんだ、“まん防”も延長されそうだし…と愚痴る。
未だ逆風であることに大きな変わりはないが、自治体が独自で実施している地域観光事業支援(県民割)によって、観光による人の動きが出てきたのは明るい兆し。県民割はすでに複数回実施されてきたが、当初はOTA(オンライントラベルエージェント)が主体で、大手の商品を販売できるぐらいしか中小旅行会社の恩恵はなかった。言葉は悪いが“刺身のつま”といった扱いだったように思えなくもない県もあった。しかしながら複数回の実施で、中小旅行会社の存在を認め、改善された内容になってきたことは喜ばしい。
一例だが滋賀県の場合は今回、県民割を利用する際、全旅クーポンの精算が可能になり、観光バスツアーを実施する場合は、助成金が出るようにもなった。これまでとは違った取り組みになったのは、滋賀県旅行業協会などが地元旅行会社の窮状を訴え、県との関係を密にしてきた証左に違いない。県民割への取り組みは、これからの地元旅行業協会のあり方の一里塚と捉えたい。
(トラベルニュースat 21年7月10日号)
- ナイキの失速に学ぶ(24/11/15)
- インバウンドと富裕層(24/10/25)
- 「あまろっく」に思う(24/10/11)
- 「バスの日」に思う(24/09/26)
- 高付加価値化とは―(24/09/10)
- 臨時情報下の同調圧力(24/08/28)
- 百年先を見る道後温泉(24/07/26)