人とつながる旅モデル
バス会社と連携して昨年12月から2月にかけて大阪府下の中小旅行会社を主対象にモニターツアーを実施した。観光庁の「交通連携」事業の助成を受け、旅行会社と地域をバス会社がハブとしてつなぎ、ウイズコロナ期に持続可能なバスツアーを提案しようと試みたものだ。
ツアーは奈良県と和歌山県を目的地に設定した。両県とも立ち寄った観光施設や寺社、食事場所、宿泊した旅館から、いずれも熱烈な歓迎を受けた。計9回行ったツアーを振り返ると、改めて人によって旅は成り立っているものだと実感している。
前述の受け入れてくれた施設の皆さん、奈良では全行程に同行してくれた観光ソムリエのほか講釈師、和歌山では旅館若女将がすべて付き合ってくれた。彼ら皆がコロナに打ち克つ気概でツアーを楽しく思い出に残るよう演出。そして、延べ百人を超える旅行会社の人たちが参加し協力を得たから無事終了することができたと思う。
今回のツアーは、人との強固なつながりがあったからこそ、血の通ったスポークが旅行会社、地域に、関わった至るところに、枝葉のように伸びていった。たぶん、これが旅の原点ではないかと自負している。感染状況に一喜一憂したが、国や地方自治体の助成金を活用してビジネスモデルを作るのは、今なのだ。
(トラベルニュースat 22年3月10日号)
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