由布院のお2人
先日、懇意にしている旅館の専務と大分県由布院温泉に行ってきた。まちづくりをけん引してきた亀の井別荘の中谷健太郎さんと玉の湯の溝口薫平さんにお会いするためだ。
専務は自ら取り組んでいる宿づくりや地域づくりにブレがないのか、定期的に話を伺いに行っているのだという。それに便乗させてもらい、これまでとこれからの由布院をどう捉えているかお聞きした。
観光客が押し寄せて軽井沢や嵐山のようになり、静かな佇まいがなくなってしまいましたねと聞くと、お2人とも「人が訪れることに歯止めはできない。受け入れる方の捉え方」との見解。メーン通りに外国人が溢れているのなら国際通りと名付けたらいいし、静けさを求めるのなら亀の井別荘や玉の湯、金鱗湖周辺に来ればいい、と達観する。
由布院ではこれからの百年を考え今、観光地づくりの初期から現在までの活動を文字化し、現在を生きる人たちと情報の共有化を図っている。地域づくりには記録が最も大事と言い続けてきたお2人の思いからだ。そして未来に向けて訴えているのは、まちに木を植えること。「落ち葉を掃かないといけないし、育てる世話もしなければならないでしょう」。まちの人たちが関わる機会を作り、樹齢を重ねるような長い射程で由布院を捉えていることに感服。
(トラベルニュースat 22年4月10日号)
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