連携を壊す支援事業
観光庁はコロナ禍で打撃を受けた観光地を再生するため、観光事業者と交通事業者が連携し、地域への誘客促進や付加価値向上の取り組みを支援している。「既存観光拠点の再生・高付加価値化推進事業」の「交通連携型」という事業だ。
申請は交通事業者が行うもので、あるバス会社は地方の温泉観光地や旅館組合、周辺の観光施設らと話し合い、従来とは異なる価値を創出しようと企画を考案。一方で、都市圏の中小旅行会社にも参画を呼びかけ、バス会社がハブになりコロナ禍における地域と観光事業者の連携も促す事業として事務局に申請した。
申請から数カ月。ようやく温泉観光地の企画に関しての承認は得たものの、肝心なバス運行に対しての返答がない。業を煮やした地域側や旅行会社から、バス会社に苦情が届くまでになった。「観光庁の支援事業で、企画内容に賛同し必要書類に捺印したが、一向に返事がなく動きもない。本当に実施するのか」と。
せっかく観光事業者と交通事業者が連携し、地域観光を盛り上げようとしているのに、これでは事務局はもとより観光庁が信頼関係を壊すことになりかねない。申請数が多いうえ血税をかけることなのでチェックに時間がかかるのはわからなくもないが、ウイズコロナ期の反転攻勢に水を差すのはいかがなものか。
(トラベルニュースat 22年9月10日号)
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