中小旅行会社の新時代
6月下旬になると旅行業協会関連の総会もひと段落した。総会でトップのあいさつや事業計画をみると、あきらかにコロナ禍前とは大きく異なっている。これまでのビジネスモデルからの変換や、国や市町村など行政との連携を視野に入れた内容や発言が目立った。
中小旅行会社はこれまで、自社が抱える顧客を遠方に連れていくことが主な仕事で、どちらかといえば地元行政との関係も薄く、地域の情報にも関心が薄かった。しかしながらコロナ禍による県民割の実施などで、旅行会社も地元に目を向けざる得なくなり、自ずと行政との連携が深まり、従来にはなかったつながりが構築されたケースが増えた。コロナ禍で地域外へ出にくくなり、現場で当たり前のように得ていた情報が確かなものか分からなくなり、これまでタダで手に入れていた情報の大事さを知ることにもなった。
その一方、集客手段としてオンラインの台頭がより一層顕著になった。この3年半は旅行業界にとって厳しい大変な時代だったが、近い将来訪れる、さらに進化したネット社会が少し早く到来したとも言える。今回の総会でのトップの発言は将来を悲観的に捉えるのではなく、先々を見据えたものが多かった。中小旅行会社が新たな時代に向けて第一歩を踏み出したように思えた。
(トラベルニュースat 23年6月25日号)
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