バス運転手は観光立国の担い手
一年でもっとも観光客が動く10―11月の観光シーズンに入った。中小旅行会社が得意とする団体やグループもようやく旅行に出かけるようになって喜ばしい限りだ。ところがである。この期間のバスの運転手が足りず、旅行会社はツアーを催行できない窮地に陥っている。客とバスはあっても運転手不足でバスを動かせず、バス会社や旅行会社が血眼になって“動くバス”を探している。公示運賃の倍を支払うからバスを回してほしい、とバス会社に懇願した旅行会社もいたようだが、それでもバスはまわってこないのが実情だ。
国交省も運転手不足や燃油価格の高騰など、貸切バス事業の経営環境の悪化を背景に、貸切バスの公示運賃を10月から順次引き上げ、2024年4月にはドライバーの労働規制の強化も始める。ただ、それだけでは運転手が増えないのが実情だ。
インバウンドを増やすための観光地の魅力向上や受入機関の整備、誘客のための予算措置にとどまらず、観光立国を支えるインフラとして貸切バスを支援できないか。地方創生や、オーバーツーリズム対策として地方への人流を支えるのも貸切バスと認識を持ち、バス運転手は観光立国の要職であるという啓蒙も必要だろう。そして、日本のバス旅行はどの国より素晴らしいと位置づける観光施策があっていい。
(トラベルニュースat 23年10月25日号)
- 世界が認めた人との触れ合い(25/03/26)
- 会員の生の声で活路を(25/03/11)
- 奈良フォーラムへの期待(25/02/26)
- 発刊1000号を機に(25/02/10)
- 自主制作映画に学ぶ(25/01/27)
- 二度目の万博で創刊55年(25/01/06)
- 青年部員の活躍にエール(24/12/10)