北陸応援割に思う
能登半島地震で落ち込んだ福井・石川・富山・新潟の4県の観光需要を回復させる「北陸応援割」の予約の受け付けが3月8日(石川県のみ12日)から始まった。各県の旅行会社や宿泊施設では、予約申し込みから1時間以内で持ち分の予算枠が完売になり、オンライントラベルエージェントでは秒殺で売り切れたところもあるという。
前回にも書いたが国や地方自治体が応援割や復興割を実施すると必ずといっていいほど現場が混乱する。政府は当初、北陸支援の応援割を実施するとしか発表しなかったため、全国の旅行会社は「応援割を使って北陸へ送客しよう」を意気込んだ。しかし途中で応援割を扱える旅行会社は北陸4県で業務を行っている業者に限られていることがわかり、商品化をあきらめた。それならば北陸と関西の旅行会社が連携し、現場レベルでの応援策を講じようと、ある県に提案したが「そんな予算は取れない」と一蹴された。こんなことでは全国規模で北陸へ行って応援しようという気運をそぐことになってしまわないか。
応援割を設けずとも、北陸へ行くことでツアー費や宿泊費の何%かが義援金として北陸支援に使われる、といったようなキャンペーンを実施した方が心情的にも北陸への関心が高まったのではないか。「応援」「支援」という思いを広範に及ぼすことが政策支援ではと思った。
(トラベルニュースat 24年3月10日号)
- 「バスの日」に思う(24/09/26)
- 高付加価値化とは―(24/09/10)
- 臨時情報下の同調圧力(24/08/28)
- 百年先を見る道後温泉(24/07/26)
- 宿泊税は地域のために(24/07/11)
- 危険な大手の仕事ぶり(24/06/25)
- 総会にチーム力を見る(24/06/12)