宿泊税は地域のために
地方自治体で宿泊税(観光税)を徴収しようという動きが活発化している。現在法定外目的税である宿泊税を徴収しているのは3都府県・6市町の9自治体。この9自治体すべてを合わせた宿泊税徴収額は2022年度で63億円になるという。
人口減少社会の中で一般財源の減収が予想される多くの地方自治体が、その財源に宿泊税や観光税を充てようとしているようだ。「持続的な観光地域づくり」を進めるためには観光振興と連動する財源が必要で、観光振興にきちんと使われるのであれば問題はない。ただ、観光地域が成長・発展するための原資とならず、諸々の理由をつけて“住民サービス”の名目で使途が広げられることに疑念が持たれている。
そうならないために観光・宿泊業界は地域の自然保護や文化財の修復、エコツーリズムの推進など新たに徴収した税が地域の魅力を高め、新たな集客を生み出すために使用されるよう、地域と観光客のためになる使途を決めて運営できるようにしたい。その上で観光組織が地域に根差した観光施策を推進するためにその財源を使うという考えを実行するには、そのエビデンスとなる客観的事実に基づいたマーケティングが必要だ。税金の無駄遣い、浪費すると言われず、真に観光地づくりを持続させる観光組織の構築を進めたい。
(トラベルニュースat 24年7月10日号)
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