臨時情報下の同調圧力
今夏も東北を中心とした豪雨、全国的な猛暑が相次いだ。そのうえ、お盆直前の8月8日に宮崎県沖を震源とする震度6弱の地震が発生、南海トラフ地震震源域では大規模地震が発生する可能性が高まったとする臨時情報が気象庁から発令された。帰省をはじめ日本人が大移動するお盆の時期に新幹線、在来線の特急列車が運休し混乱をきたしたほか、太平洋沿岸を中心とする海水浴場は軒並み遊泳禁止になった。
和歌山県白浜温泉でも、代名詞である白良浜海水浴場が完全閉鎖。臨時情報が発令され旅館ホテルにはキャンセルが相次いだ。予約客曰く「海水浴に行くのが目的で泊まるのに、泳げないなら泊まる必要はないしキャンセル料は払わない」「津波が来るかもしれないのに、よくお客さんを泊めようとするもんだ」などなどキャンセルの理由をとうとうと述べ、もちろんキャンセル料は支払わないとの連絡が続出した。地形の関係や避難経路の確保で安全確認し営業していた海水浴場に対しては「他の海水浴場は遊泳禁止にしているのに、なぜオープンしているのか。誰が責任をとるんだ」といった苦情の電話がかかってきたという。
コロナ禍以降より顕在化していく同調圧力と風評による、観光事業者へ一方的に偏る損害。観光立国への大きな壁だ。
(トラベルニュースat 24年8月25日号)
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