高付加価値化とは―
観光庁の補助事業で「既存観光拠点の再生・高付加価値推進事業」で、各地の旅館ホテルがリニューアルされ、魅力ある施設づくりを後押しされることは喜ばしいことだ。
ただ名実ともに“高付加価値化”された旅館ホテルになっているのだろうか。食材や燃料、人件費などが高騰しているなかで料金アップは仕方のないことかもしれないが、高付加価値化の題目で単に宿泊料金を上げているだけではないだろうか。
料金は上がったが料理はそれほどの変化はないし、器が代わったわけでもない。人手不足で接客が低下し、電話をかけても頓珍漢な返答。「それでよく『高付加価値化した宿』を名乗ることができるものだ」と呆れる旅行会社は少なくない。高付加価値化で宴会場を潰したから15人以上の団体は受けないし、昼食はお断り。旅行会社への手数料は払わず「どうしてもというのなら手数料なしだったらお受けします」。個人客に特化した小規模な施設であれば、そのスタンスでいいのかもしれない。ただ、中・大規模の旅館ホテルでも個人主体のOTAやインバウンドだけと客層を絞るのはどうか。
かつて旅館は「全方位外交」でお客様に来ていただく姿勢が大事と言われ、実際に今もその姿勢で集客している旅館もある。持続可能な旅館ホテルとはどちらなのだろうか―。
(トラベルニュースat 24年9月10日号)
- ナイキの失速に学ぶ(24/11/15)
- インバウンドと富裕層(24/10/25)
- 「あまろっく」に思う(24/10/11)
- 「バスの日」に思う(24/09/26)
- 臨時情報下の同調圧力(24/08/28)
- 百年先を見る道後温泉(24/07/26)
- 宿泊税は地域のために(24/07/11)