ナイキの失速に学ぶ
スポーツシューズのトップメーカー・ナイキが業績不振に陥っているとウェブニュースで報じられていた。その理由のひとつが「直営店やEC(電子商取引)での販売に注力し、小売店への卸を大幅に減らしたこと」だそうだ。
実は、スニーカーを購入しようとする一般消費者にとっては、他メーカーも取り扱っている小売店で商品を見比べる行為が大切で、直営店やECに特化することはその機会を奪ってしまうことにつながった。よほどのナイキ愛好家でない限り、スニーカーは直接見て、履いてみて、そして他メーカーと比較して買うか否かを決めるのが一般消費者だ。その上、小売店で自社商品のポジションをリサーチする機会も失い、商品に一般消費者の声が反映しにくくなったことも小さくないだろう。
さて、今の旅館ホテルの営業スタイルはどうか。リアルエージェントの取引を減らし直営業もしないでOTAに丸投げしていないか。ある旅館経営者は「人手不足を理由にネット販売ばかりに力を入れ、旅行会社を疎遠にする旅館が増えている。旅館自らが顧客を絞り、マーケットを狭めてどうするのか。自分たちが主導して販売チャネルを多様化しなければ、いずれ大きなしっぺ返しを被ることを懸念している」。ナイキの業績不振を他山の石としたい。
(トラベルニュースat 24年11月10日号)
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