自主制作映画に学ぶ
自主制作の映画「侍タイムスリッパー」が第48回日本アカデミー賞15部門のうち7部門を受賞した。昨年8月にたった1館から始まった上映は、またたくまに全国に拡大、年末には348館で上映されるまでになった。その結果、優秀作品賞、優秀監督賞、優秀主演男優賞、優秀脚本賞、優秀撮影賞、優秀照明賞、優秀編集賞を受賞するまでに至った。
作品は、幕末の会津藩藩士が落雷によって現代の時代劇撮影所にタイムスリップし、剣の腕を頼りに「切られ役」として新しい人生を歩むというコメディ仕立て。制作費2600万円という低予算だが、東映京都撮影所の人たちが「脚本がおもしろい」と評価、全面的に支援してくれたそうだ。映画を撮った安田淳一監督は「商業映画だったら、同じ内容の作品はできなかった。自身で制作費を集めたからこそやりたいことを追求できた」。それゆえ「おもしろい脚本」が時代劇のプロたちの琴線に触れ応援につながったのだろう。
我々の業界も大半が中小零細企業だ。であれば安田監督のように自身の知恵と才覚、こだわりによって「客を楽しませ、喜んでもらえる」企画をつくることができる。安田監督も一人では映画が作れなかったのと同様、中小零細企業だからこそ結束しできること、やれることに注力し新しいものを生み出したい。
(トラベルニュースat 25年1月25日号)
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