岩切章太郎賞、20回節目に終了(2)
同賞は、フェニックスの海岸線、365日花のある観光地づくりなど、観光宮崎の基礎を築いた宮崎交通グループの創業者、故岩切章太郎翁の功績を継承し、また、観光振興に功績のあった全国の個人や団体を顕彰しようと88年に創設された。
観光地づくり 顕彰で後押し
同賞にはいくつかユニークな点があった。宮崎市という一地方自治体が表彰する賞であることや、賞の名称に個人の名前が使われていること、審査委員にシャンソン歌手の石井好子さん、野球解説者の川上哲治さん、作曲家の服部克久さん、歌人の俵万智さんといった著名人が並んでいることなど。
しかし、最もユニークで賞の性格を物語っているのは、第1回目からの選考委員で、現在は選考委員長を務める作家の永六輔さんが、この賞について説明するときに、必ず付け加えることにある。
「ほとんどの賞はあなたに決まったから賞状を取りに来いと言うけど、この賞は受賞者のところまで、こちらが届けに行く賞です。そこが大いに違うところです。まさに観光にふさわしい賞だと思います」
毎回、賞の贈呈は、宮崎市長が受賞者のもとを訪ね、現地で行ってきた。
今回、最後の選考となった20回目の岩切章太郎賞は宮崎市に隣接する日南市に与えられる。贈呈式は4月24日に日南市で行われ、今回も宮崎市長が賞状と副賞100万円を授与することにしている。
同賞の終了に当たり、宮崎市では11月26―27日に宮崎市に歴代の受賞者を招き記念イベントを開くことを決めている。岩切翁の新たな顕彰事業も検討することにしている。
最後の受賞者・宮崎県日南市 "住民中心"を評価
最後の受賞となった日南市は、宮崎市の南隣に位置する。年間に訪れる観光客は109万人。
昭和40年代以降、城下町らしい町並みの復元に取り組み、九州で初めての重要伝統的建造物群保存地区に選定された飫肥地区や、石橋や大正時代の赤レンガ倉庫が市民の手で保存されている油津地区があり、市民による観光イベントも盛んだという。
永さんは「住民が中心となり、特色を生かした観光を盛り上げています。この姿こそ、岩切章太郎氏が願うまちおこしの姿ではないでしょうか」とコメントしている。
(トラベルニュースat 08年2月25日号)
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