旗印は健康と環境 皆生温泉のまちづくり(2)
皆生温泉が4月から始めるプランは「スリミングステイ―3%美しくなる旅」。2泊3日を基本設定とした滞在型の企画で、JTB協定旅館ホテル連盟の支援を受け2005年から取り組み始めた。
スリミングステイ 地域連携で滞在型プラン
プランは(1)皆生温泉の塩泉入浴(2)カロリーと塩分を抑えたビューティーレシピ(3)皆生温泉や大山でのエコツアーを組み合わせ、健康や美容の効果をうたう。実際、昨年行ったモニターツアーで、参加者の大半に脂肪燃焼効果が実証され、体脂肪率が最大3%減少したという。
塩泉入浴は、30分間に全身浴とマッサージを繰り返す独自の入浴方法を開発。ビューティーレシピは地元の食材を用いて、栄養士の指導のもと夕食で塩分6グラム以下、1000―1200キロカロリーを共通ルールとして定めている。
3月12日に開いたビューティーレシピの試食会には、JTBのほかKNTや日本旅行など旅行会社、地元観光関係者ら約150人が出席し、各旅館の試作料理を味わった。「白烏賊の酒盗焼」「穴子蓮根蒸し」「菜の花と筍のにぎり寿司」など、旬の食材を生かしたメニューが並び、参加者は「上品な味付けで美味しい」と評価していた。
また、エコツアーのプログラムは、若手の旅館経営者らがインストラクターの資格を取って始めたシーカヤックツアー、米子市観光協会が中心市街地活性化で数年前から行っている下町ガイドなど、従来個別で実施していたものを連携させて滞在客に提案する。
これまでの皆生温泉は、俗に言う歓楽型温泉地として男性団体客を中心に発展した。しかし、団体客の減少とともにスタイルの転換を迫られた。湯めぐりや家族向け企画、バスツアーなどを相次いで打ち出し「一定の成果」(柴野組合長)は挙げてきたという。
その中で07年に同温泉で開いたエコツーリズムサミットに前後して、「環境」や「健康」をテーマに大山など周辺観光地との広域連携の機運が高まった。
柴野組合長は「目の前の日本海、大山といった素晴らしい観光素材を十分に生かしきれていませんでした。今回のプランを通じて、行政や地域、農林漁業関係者らの皆さんと連携できたことは皆生温泉にとって非常に大きい」と話す。
温泉地内でも、プランづくりに組合青年部員が奔走し、名称は07年に発足した女性部会が付けた。皆生全体での取り組みが「スリミングステイ」に結実したといえる。
皆生温泉のアドバイザーを務める山田桂一郎さんは「健康と環境という分かりやすいコンセプトが、いろんな人に参画してもらうきっかけになった。皆生温泉の個性、地域性を生かす旗印が明確になったことで、今後の集客に結びつける創造性を発揮する素地ができたと言えます」と語る。
(トラベルニュースat 08年3月25日号)