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ほう素・ふっ素問題 温泉分野検討委を設置(2)

水質汚染防止法による、ほう素・ふっ素等の排水基準は2001年に定められたが、排水実態が定かでなかったり、排水処理技術が確立されていない21業種については、一律基準より緩い暫定基準が適用されている。暫定基準の適用については3年ごとに見直され、これまでに04年、07年の見直しで2度適用が延長されてきた。

10年の一律基準視野に 環境省、まずは排水実態調査

今回設置された温泉分野検討会では、次に見直しが行われる10年7月の一律基準移行に向けた排水処理の技術的支援の方向性を検討する。

ただし、第1回の検討会で座長に就任した中央温泉研究所の滝沢英夫研究員は、温泉旅館の排水実態がほとんど把握できていない現状を踏まえ、一律基準への移行には言及せず慎重に検討会をリードしていた。検討会は10月から09年2月まで4回行う。

今回の検討会では、まず、温泉排水の実態が報告された。それによると公衆浴場も含む温泉利用施設のうち、これまでに環境省や自治体により排水調査が行われているのは、対象となる2万2772施設のうち5・7%の1292施設。

さらに、ほう素やふっ素のデータが存在するのは、700―800施設程度にとどまり、このうちほう素については192施設、ふっ素については60施設が一律排水基準を超えていることが分かっている。

こうした状況を踏まえ、検討会では新たに、温泉のほう素濃度やふっ素濃度が高い地域の、全国の60施設の排水調査を行う。調査には、日帰り温泉施設を含める。

採水は温泉水の流入と温泉排水も混ざった雑排水の2カ所とし、排水についてはピーク時に採水することを決めた。

調査結果は11月28日に行う、次回の検討会で報告する。

水質汚染防止法に基づくほう素・ふっ素等の排水基準については、01年に指定74業種に対し、一律の排水基準(ほう素は1リットル中に10ミリグラム以下、ふっ素は同じく8ミリグラム以下)が定められ、施行されている。

しかし、基準に対応するのが困難な業種については、暫定基準が適用され、温泉旅館は排水1リットル中の基準が、ほう素は500ミリグラム。ふっ素については、74年12月以前から湧出している温泉は50ミリグラム、それ以降に湧出した温泉で1日当たりの排出量が50トン以上の施設は15ミリグラム、50トン未満については50ミリグラムが暫定基準になっている。

旅館に係わる排水規制については、日本温泉協会が01年の施行時から(1)ほう素・ふっ素の低廉で実用的な除去方法が確立されていない(2)産業廃棄物的な工場排水と温泉を同一に扱うべきでない―などと、一律基準の適用に一貫して反対しているほか、全旅連も反対の姿勢を示している。

検討会には、日本温泉協会と全旅連からもオブザーバーとして加わっている。

(トラベルニュースat 08年11月10日号)

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