中国個人客が来た 観光ビザ解禁(2)
成田空港に全日空便で到着した高建怡さんは、セレモニー終了後の会見で「自由に旅行できることで、日本人の普段の生活や真の姿に触れるのが楽しみ」、馬凌誠さんは「夏休みを利用して家族7人で来ました。個人観光旅行第一陣に参加できて嬉しい」とそれぞれ感想を話していた。
7月8日に第一陣が来日
また、本保・観光庁長官は「訪日旅行にとって大きな成長マーケットである中国からの個人観光旅行者を迎えることができて喜んでいます。ショッピングなどによる経済効果には期待していますが、それ以上に、日中友好を強化する新しい一歩だと考えています。個人が自由に旅行できることで日本の良さを実感していただきたい。実績を積み、段階を踏んでビザの一層の緩和につなげたい」と話した。
一方、関西国際空港には上海在住の親子3人が到着した。関西国際空港の福島伸一社長、近畿運輸局企画観光部の平嶋隆司部長、せんとくんらが出迎えた。
3人は初来日。「友人から日本文化のことを聞き興味がありました。大阪、京都、奈良、神戸などいろいろ行ってみたい。団体旅行ではコースが決まっていますが、個人では自由にゆっくりと見られます。今すごく興奮しています」と話した。
福島社長は「国宝の6割を有し世界遺産も多い関西は、観光のポテンシャルは非常に大きいと思っています。関空発着のツアーを開発し、多くの中国人客に関空を利用し来日してほしいですね」と話し、減便や路線廃止など関空のマイナスイメージから巻き返す起爆剤に中国個人観光客への期待感を示した。
平嶋部長は「個人旅行の受け入れは、リピーターになってもらえるチャンスと捉えています。団体旅行では見過ごされてきた関西の魅力を発信していきたいですね」と話していた。
全土でビザ発給も視野 観光庁
中国からの訪日については2000年に団体観光ビザが解禁、08年3月からは2人以上の家族旅行も認められたが、日中双方の添乗員同伴が条件だったことから、家族利用は27人だけにとどまっていた。
これに対し、今回の個人観光ビザの解禁では年収25万元(約350万円)以上といった所得制限の目安はある一方、添乗員同伴などの制限はなくなり、旅行会社を通すものの、個人で自由に日本を旅行することが可能になった。
そのため発給対象が北京、上海、広州の大使館・領事館管轄内の住人と制限されているが、7月1日の解禁から7日までの5営業日だけで250人以上が申請するなど関心は高い。発給エリアの制限について本保・観光庁長官は「旅行中の失踪率がどうなるかを見極めるための慎重なスタート」としており、1年後程度をメドに発給対象を中国全土に広げたい意向を持つ。
一方、来日した中国人旅行者によると、実際の個人観光ビザ申請にあたっては、年収のほか不動産や車所有についての証明書を提出しており、一層の簡素化を求める声が聞かれた。
(トラベルニュースat 09年7月25日号)
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