観光庁発足1年 観光関係者と政府が懇談(2)
懇談会にはTIJの舩山龍二会長、日本政府観光局の間宮忠敏理事長、由布院温泉観光協会の桑野和泉会長ら6人が観光関係者として出席した。
20年2千万人を前倒し 前原国交相
前原国交相は、2020年に訪日外客2千万人という目標に対して「少し"ぬるい"と思う。海外旅行者数と同じ目標というのはどうか。達成時期の前倒しを目指して政策を立案したい」と強調した。
出席者からは「外国でのPR活動だけでなく、国内で外国人を温かく迎える心を育むPR、啓発活動も必要ではないか」という声もあった。
"横割り"で省庁連携強化 辻元副大臣
また、多くの省庁にまたがる観光分野で縦割り行政の弊害を指摘する意見に対しては、辻元副大臣が「縦割りから横割りに、関係省庁の連携強化を現実のものにしたい」と応じ、本保長官も同意した。
出席者の1人で、離島のエコツアーにも取り組んでいる鳥羽若女将うめの蕾会会長の江崎貴久さんが「島のお客さんが増えると、地元の一部はすぐ橋を架けようという話になってしまう」と伝えると、辻元副大臣は「モノを造るだけではなく、不便の価値を大事にする国交省でありたい」と応じた。
この日の夕方からは、ようこそジャパン大使ら100人ほどを招いて懇親会も行われた。前原国交相はこの場でも「政権交代してもVJCの目標は達成する」と意気込みを述べた。
参加した高橋正美さん(神奈川県・富士箱根ゲストハウス)によると、招待者が直接大臣や副大臣と会話するなど、なごやかな雰囲気だったという。辻元副大臣とは直接言葉を交わし「ピースボートの経験で、国際交流の果たす役割もよくご存知ですし、今後の活動に期待しています」と話していた。
観光庁幹部によると、政権が代わってから、いわゆる"政治主導"で、議員が官僚に情報収集に来る頻度が飛躍的に増えたという。従来とは異なる政治家の動きに戸惑う場面もあるそうだが、観光の現場の声を直接伝えられる機会が増えたと前向きに捉えているそうだ。
10月15日までに再提出する概算要求についても、前回8月末に提出した内容から大幅な手直しや、予算の増加が望み薄との見方が大半を占める中で、観光庁の2年目が始まった。
(トラベルニュースat 09年10月10日号)
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