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ニッポンを自由旅 スルッとKANSAI協議会(2)

スルッとKANSAI協議会の訪日客向け乗り放題チケット「KANSAI THRU PASS」は2日券(大人3800円)と3日券(5千円)の2つ。01年度から売り出し、鳥インフルエンザで04年度に伸び率が鈍化したものの、07年度まで右肩上がりで販売枚数を増やしてきた。

韓国で人気の乗り放題券 関西FIT観光をけん引

券種では、3日券の方が2日券より5割ほど多い。国・地域別では韓国が7―8割を占め圧倒的で、そのほとんどが若い女性だという。

平野さんによると、彼女たちの典型的なスタイルは3泊4日で関西に滞在。事前に本国で購入した3日券を使って、最初の2日間は奈良・東大寺や京都・金閣寺などシンボル的な観光施設を電車で巡る。なか1日はUSJで遊び、再び乗り放題でショッピング行脚というパターンだそうだ。

08年度も上期は年間10万枚を突破する勢いだったが、世界同時不況とウォン高で失速。初めて前年割れに転じた。09年度は12月から反転、ほぼ08年並みに落ち着く見通しだ。

同協議会は当初、参画会社間の相互送客が主だった。関西以外の地域から利用客誘致に乗り出したのは00年から。「せっかく関西空港、新大阪駅に参画会社が乗り入れているのだから、という発想」だった。

首都圏の旅行会社で販売を始め、翌01年には訪日客用を開発。大阪観光協会(当時)の海外プロモーションに同行したり、大阪―釜山に定期フェリーを運航するパンスターラインのアテンドで韓国などでPRした。JALの紹介で欧米にも打って出た。だが「チケットの評価は受けたものの、実際にはそれほど売れなかった」という。

転機は02年。日韓共催のW杯で、韓国との相互交流が飛躍的に増えた。「FITが主だった韓国人にぴったりだった」。特に、チケット販売時に配布するガイドブックには、観光施設入場料や買い物の割引特典が付き「韓国人の気質に合った」。

またIT化が飛躍的に進み、ウェブ販売に特化し業績を伸ばしていた旅行博士などベンチャー系旅行会社と契約につなげたことも大きかった。先払いが条件であった反面、通常の販売手数料10%のほか50枚販売すれば1枚プレゼントなどインセンティブも効果的だった。そして何より、「儲けのためだけではない、客の利便性のため」というベンチャー気質がチケット販売を後押しした。

「これほど私鉄がネットワーク化しているところは世界に類例のない財産。潜在需要はまだまだある」と、平野さんは中国を見据えている。

(トラベルニュースat 10年2月25日号)

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