口コミはこう使う ソーシャルメディアと付き合う(2)
山本さんは、トリップアドバイザーをはじめSNSやブログ、ユーチューブなど、ユーザーが参加したり、自身の評価を掲載できるサイトをソーシャルメディアと定義。これらのサイトから自分の旅館ホテルに最適なサイトを見つけ、集客に上手に活用してはどうかと呼びかけていた。
トリップアドバイザー日本法人社長・山本考伸さんが語る「口コミ」
例えば、ミクシィと同じSNSのフェイスブックの会員は2億人、ブログの月間利用人口は2500万人もいる。ユーザーが情報収集や比較検討に最もよく利用するサイトが口コミサイトであることなど、ソーシャルメディアの利用者と影響力は急増している。
活用の仕方だが、ポイントは3つあるという。
1つは口コミを読むこと。これは自館のレビューだけでなく、競争相手のレビューを読むことも同様で、改善や新しいアイデアの発見につながる。
実際、東京で最も評価の高いホテル、マンダリンオリエンタル東京の口コミを読んでみると、宿泊予約後のコンシェルジュとのメールのやりとりに感動し「宿泊が待ちきれない」と、宿泊前に5段階で最高点の評価を投稿しているケースなどがあって面白い。
実は少ないマイナス評価 ヤラセ、買収はタブー
2つ目のポイントはレビューを書いてもらうこと。ソーシャルメディアの特徴として、個人の主観である評価がたくさん集まることで、やがて客観的な評価として信頼を得るということがある。
マイナス評価への心配はあるが、実際には、トリップアドバイザーに投稿されるホテル評価は55%が4つ星以上で、3つ星未満は3%と極端に少ない。ユーザーの評価の多数は肯定的、好意的で、楽しさや感動を共有することを目的に口コミを書き込んでいることが分かる。
そのため、口コミを増やすために多くのホテルが努力している。例えば、ある海外のホテルでは思い出の写真を添えたお礼のメールを宿泊客に送り、そのなかで「宿泊に満足していただいた場合には口コミの投稿をお願いします」と、投稿先のURLを付けて依頼している。
ただし、コメントを依頼するのにもタブーはある。「口コミを金で買うことと、自社社員などによるやらせはしないこと」。
ソーシャルメディアに対するユーザーの信頼が高いほど、バレたときの代償は大きい。
掲載されたよい口コミを多くの人に見せることが3つ目のポイントになる。ソーシャルメディアに口コミが載ることで、自館のHPを訪れるユーザーは増える。さらに、自館のサイトに転載する方法もある。サイト上に口コミを掲載することで、予約成約率の上昇が期待できる。
ソーシャルメディア時代には、よい口コミは旅館ホテルの最高のプロモーションツールになる。したがって「これまで以上によいサービスを提供し、よい体験をしてもらうことが重要です」と山本さんは話していた。
【トリップアドバイザー】2000年にサービスを開始。米英仏中国など世界17カ国の12言語で運営され、日本語版は08年にオープンした。現在、世界6万都市・地域にある80万軒のホテルやレストラン、観光名所に関する口コミ情報約3千万件を掲載している。世界最大のオンライン旅行会社エクスペディアの子会社だが、掲載対象はエクスペディアとの契約を条件とせず、口コミサイトとしての独自性を維持しているという。