地旅で相互送客 九州新幹線全通機に全旅が初の商談会(2)
全旅では2008年度から、ANTA加盟の旅行会社が地元住民らと協働して企画造成する着地型観光を評価顕彰しようと「地旅大賞」を創設、地旅の普及拡大を進めてきた。
発地と着地が連動 岡山と鹿児島など実践へ
しかし「地域活性化に寄与し、市場拡大、事業発展にもつなげる」(池田社長)という地旅最大の目的のためには集客販売が必要で、その点では思ったように進んでいなかった。
そのため今回の商談会は、九州新幹線開通というトピックを生かし、開通効果の恩恵が大きい沿線の営業所長が一堂に介し、直接セールスする場を設けようと企画した。
池田社長は「着地側は商品造成、企画手配センターとして、発地側は販売に徹するという形で商談会に臨んでほしい。発と着の両面性を持っているのはANTA会員の特長です。皆さんの中からテストケースが生まれ、実績が出ることを期待しています」と、集まった営業所長らに相互送客を促した。
滋賀県営業所では、大河ドラマ「江~戦国の姫たち」の放映にちなみ、主人公が生まれた北近江地区を舞台にした「江・浅井三姉妹ドラマツアー」を紹介した。
広島県営業所は、安芸灘とびしま海道のツアーを企画。大崎下島の御手洗などを巡る日帰り、1泊2日のコースを提示し送客を呼びかけた。
山口県営業所は、ANTA会員9社が共同で企画している萩往還のツアー構想を発表。「2月半ばにはパンフレットが完成し、皆さんのお手元に届くようにする」とした。
佐賀県営業所は、唐津市の着地型商品を集中販売する「地旅博覧会」について説明し、参加者特典の充実やネット価格での卸販売を勧めた。
熊本県営業所は、全国に現存する石橋の95%が九州にあることを生かした、ガイド能力があるドライバーが案内するツアーをPR。
鹿児島県営業所は、女性や大人の旅などターゲットを絞った個人向け旅行商品「魅旅(みたび)」を紹介した。
商談会では、さっそく岡山県と鹿児島県営業所が6月に相互送客することを決めたほか、宮崎県営業所は新幹線開通後を目標に山口県の地旅周遊バスの商品化を確約した。また、福岡、大分から滋賀県への送客や、滋賀県と佐賀県は焼物や温泉など共通点が多いことから県レベルでの交流を進めていくことで一致していた。
池田社長は「たいへん有意義な商談会になった。これが起爆剤になって全国へ広がってほしい」と話していた。
全旅では、各営業所管内のANTA会員が企画造成した地旅商品のパンフレットや告知宣伝を支援する。