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九州新幹線や高速無料化―交通イノベーション2011(2)

3月12日の開通まであと半月あまりに迫った九州新幹線。少し前までは、座席が仕入れにくいなどの声も聞かれたが、2月に入り大手旅行各社から新幹線を前面にした九州方面の商品が出始めた。

九州新幹線の商戦本格化 高速無料化拡大やLCCも

JTB西日本は2月4日から「九州想い出紀行3日間」を販売。開業記念で製作された九州新幹線の玩具、さくらの車両を模したパッケージに入った「さくら弁当」など参加者特典を付けた。3月22日、4月17日、5月30日の限定3日の出発日は約1週間で埋まった。120人ほどの申し込みがあったという。

エスコート型商品で、往路はN700系で鹿児島中央駅へ直行、開通フィーバー下の座席の確約が奏功した。このほかのエース商品でも九州方面の売れ行きは好調で、鹿児島県で前年同期比180%、熊本県で同141%などとなっている。

KNTが2月14日に発売し、マスコミ各社が大きく取り上げた「JR最北端の駅からJR最南端の駅まで!九州新幹線全線開業記念!日本縦断の旅」。東京、名古屋、大阪から航空機を利用して稚内へ行き、JRと新幹線を乗り継いで西大山駅(鹿児島県)を目指す4日間のツアーで、参加費は1人およそ15万円だが1週間で20人ほどが申し込んだ。同社では、九州方面のツアー全体で3割アップを目指す。

一方、鉄道やフェリー、高速バスなどにとってマイナス要因が高速道休日1千円。4月からは平日2千円も導入されるほか、今年度の無料化社会実験区間1652キロに6月から329キロが加わる。

このうち、全日全車が無料化する米子道(岡山県・落合ジャンクション―鳥取県・米子インター)を利用した目的地、山陰の観光関係者は「もともとマイカーが主体の地域で、家族旅行が最盛期を迎える夏にファミリー向け企画の増強を図りたい」と期待する。

ただ一方で、鉄道や高速バスへの影響を危惧し「高齢者などに不便さを感じさせるのでは」とも。今年度、高速無料化が好影響を及ぼした地域、施設は思っていたより限定的だったことも、もろ手を挙げて期待感を示しにくいのかもしれない。

さらに全日空は2月、香港のファーストイースタン・インベストメントグループと共同出資し設立するLCC会社「A&F・アビエーション」の概要を発表。関西国際空港を拠点に国内、アジア方面へ路線を開設する予定で、通常のANA運賃の半額で運航する構想を明らかにしている。

カンタス航空系のジェットスターに端を発したLCCの日本就航はすでに本格化し、上海に拠点を置く春秋航空は2月20日、高松―上海間を片道3千円からと発表。1カ月限定とは言え、衝撃的な値付けは嫌がおうも衆目を集める。

2011年は陸路、空路のネットワーク整備とともに、破壊的な価格設定で観光の動きを劇的に変革させていきそうだ。

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