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ともに頑張り乗り越える 佐藤・全旅連会長に聞く震災後の取り組み(3)

―希望につながる環境整備として、全旅連は融資や返済、税制や雇用についての特例措置、原発事故によるキャンセルへの補償などについて、関係省庁や政府与党に陳情を繰り返しています。もっとも強く求めているのはどのようなことでしょうか。

助成金で雇用維持を

佐藤 売上の激減にどのように対応するかで多くの旅館さんが悩んでいます。

まず新しい貸付がスムーズに行われることと、既往の借り入れの返済猶予や金利の減免措置、それらが債権者区分に影響を与えないようお願いしています。金融庁の指導もあり、貸付や返済のリスケジュールなどはおおむねスムーズに行われていると聞いています。

また、売上の激減で困るのが固定資産税の負担と人件費です。固定資産税については被災地支援の観点で免除をお願いしています。人件費についてはぜひ、雇用調整助成金を活用してほしい。旅館業界ではあまり使われてきませんでしたが、リーマンショック後のピークでは全国で253万人が雇用調整助成金を受けています。申請して認められれば被災県では3月11日に遡って受給できます。うちでも3月に申請し4月から受給しています。ただ、申請書づくりはかなり煩雑なので、申請書類を簡素化することも求めています。

―厳しくともなんとか雇用を維持してほしいと旅館業界に向けて訴えていますね。

佐藤 旅館業は若い人から高齢者まで、また、いろんな能力を持った幅の広い人材を採用できる業種です。そうした業種だからこそ、観光産業は大切な産業だと評価されているし、それが観光産業の長所でもあります。その長所を簡単だからと切り捨ててしまうことは、我々の最大の長所を失うことです。

少子高齢化社会のなか、地域の基盤産業は観光以外にありません。地域の活性化のために観光は必要だと社会に認めてもらうためにも、雇用は守らなければならないと思っています。

―原発事故によるキャンセルなど損害賠償はどのように求めますか。

佐藤 国に対して補償を求めていくつもりです。ただ、原発問題は進行形ですので、今の時期の請求が適切なのか、半年先、一年先を待っての請求が適当なのか。外国人旅行者の激減や国内旅行全体への影響をどう積算するのかも課題です。補償の額は別にして交渉は始めたいと思っています。

やるべきことすべてやる

―現状を乗り越えていくために、どのような心構えが必要でしょう。

佐藤 地震と津波については復興に向かってゆっくりでも確実に進んでいくと思います。全旅連でも、やるべきことはすべてやります。原発事故は進行形ですが、みなさんが諦めることなく、なんとしても乗り越える気持ちが大切だと思います。全旅連も協力しますのでともに頑張りましょう。

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