「絆」が旅行意欲 じゃらん宿泊旅行調査から(2)
旅行実施者の減少に伴い、延べ宿泊数も前年度比7.8%減の2億4886万泊と大幅に減少。延べ宿泊旅行者数、延べ宿泊数は調査開始以来最低を記録した。
10年度の実績は大幅減 震災後の旅行意向は東北を目的地に
一方で宿泊旅行実施者の年間平均旅行回数は2.73回、旅行1回あたりの平均宿泊数は1.64泊といずれも前年とほぼ変わらず。このことから、単純に「旅行する人が減少している」ということが旅行業界の大きな問題として浮かび上がる。
年代別に宿泊旅行実施率を見ると、20―34歳女性の61.3%が最高。しかし前年に続き全年代で減少しており、下落幅は50―79歳男性の4.8%減が最大で、35―49歳女性の4.2%減と続く。
同センター研究員の横山幸代さんは、8月17日に大阪市内で開いた観光振興セミナーで、この原因を「教育に費用がシフトした」。さらに、20―34歳は、若者の旅行離れと人口減少傾向から「商品の魅力が低下すると状況はさらに悪化する」と懸念を示した。
宿泊旅行の費用総額は同8.5%減の7兆477万円で、最低数値を更新。05年から約1.7兆円も縮小している。個人旅行における総額は約4万5千円で、09年から2600万円も減少。そのうち宿泊費は前年から400円減の1万4900円で、安価な旅行へのシフトが進行している。
また、宿泊旅行の同行形態は例年通りの傾向。「夫婦2人旅」24.4%がトップで、6年連続増加の「一人旅」13.1%、微増を続ける「小学生以下の子連れ家族旅行」12.8%が目立つ。
今回の調査では、東日本大震災後の国内旅行意向もまとめた。4月中旬時点で今年中に旅行に行きたい人は65%。4月末時点の今年度中の旅行意向と10年度宿泊旅行実績との比較では、意向が大きく上回ったのは、トップの沖縄に次いで青森、秋田、山形の東北3県だった。
今年4―7月末の最新予約動向(じゃらんネット)でもGW前から対前年を上回り出し、家族連れが上昇傾向。「家族の絆」や「東北支援」をキーワードに、にわかに旅行ムードが高まり出してきているようだ。