震災から半年―訪日外客の復活へ JNTO、市場動向を解説(2)
6日の会合では、JNTO担当者が訪日旅行市場の現状と今後の見通しについて解説。ビジット・ジャパン・キャンペーン(VJC)の重点15市場の動向を報告した。
韓国・中国・台湾で好材料も
今後の見通しでは、原発事故の収束、もしくは国際的な機関が発する終息宣言まで本格的な回復は見込めないが、市場別に回復を後押しする材料もある。
最大の訪日国、韓国についてはLCCの日本就航ラッシュや9月25日のソウル―仙台定期便の再開が追い風。特に後者は、再開に合わせてアシアナ航空などが中心となって、東北への旅行需要回復に向けた取り組みをスタートさせた。
中国は10月の国慶節休暇向け日本ツアーの販売が試金石になるとしている。
台湾は震災後の訪日旅行者の回復が早く(8月は対前年比12.6%減)、訪日旅行者のクチコミに期待が寄せられている。9月以降再開する東北チャーター便はほぼ満席の見通しだ。
香港は8月に入って、訪日旅行商品の販売実績が前年の7割強まで回復。タイは、初めての訪日旅行者が増える傾向にあるが、富裕層の回復が遅れている。シンガポールは8月に実施した、シンガポール人大学生100人の東北視察旅行が成功しクチコミとして効果が表れ始めている。豪州では、冬のスキー旅行で需要回復の見通しが立ちつつあるようだ。
日中国交正常化40周年を起爆剤に 中国人誘致を指南・北京大の加藤さん
東京会場では北京大学研究員でコラムニストの加藤嘉一さんが「震災後の日本に中国人観光客を迎えるには」をテーマに講演した。
加藤さんは1984年生まれの27歳。英フィナンシャル・タイムズ中国版のコラムニストであり、2008年に開設した自身のブログのアクセスがこれまでに5500万を超えるなど、中国で最も著名な日本人コラムニストと呼ばれる。
加藤さんは、日中国交正常化40周年にあたる2012年に中国から3千人の若者を日本に招待し、これを日本から中国に向けた旅行者回復への期待のメッセージとするよう提案した。
また「観光交流は相互交流であることが大事。中国人は大きな目標が好きですから、毎年1万人規模の相互交流に発展させては」などと話した。
中国人の日本への関心については「健康食品、水、米、サプリメント、美容、スパ、介護と多岐にわたります。中国人は多様性を重んじ、旅行では多様性を求めます。日本旅館での手を振っての見送りにも感動します」と例をあげ、「日本で当たり前に行っていることが、中国人を迎えるときの財産です」と勇気づけた。