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"旅行会社魂"を発揮 JTB西日本の交流文化事業(3)

2010年からF1に本格参戦した小林可夢偉選手。テレビ中継では「尼崎から世界へ」「人情味のある尼崎出身の可夢偉!」などと繰り返し放送される。尼崎支店の打本支店長は「これは、最高のセールスだ」。

コミュニティーに飛び込む

市も、市民も小林選手の活躍に注目し、凱旋する日本グランプリへの応援団を商工会や青年会議所メンバーらで結成。10年は市長を団長に、バス2台で駆けつけた。

あまかんでは、小林選手ゆかりの場所を表記する「可夢偉マップ」を作成することにした。本人の承諾を得て、お父さんやまちの人たちに小林選手のエピソードを聞いて回った。「相当なやんちゃ坊主だったみたいで、ここで三輪車を乗り回していた、この店で買い食いしていたとか、エピソードがすごく多い。お父さんも子どものころの写真を快く貸してくれました」。今年7月に完成した直後から、A3判1枚のマップは大きな話題を呼び、実家周辺の商店街がファンで賑わった。

今年10月の応援ツアーは、バス16台720人に膨れ上がった。名古屋や埼玉の人もわざわざ尼崎に集合して参加したという。「1人3万円の日帰りツアーですから、旅行会社として正直おいしい。だけど、それはこれまで築いてきた人間関係、私自身も応援団のメンバーですし、皆で応援しに行こうとなったら『ほな、打本さん頼むで』ということなんです」。

JTB西日本尼崎支店

尼崎支店内のあまかんスタッフと
打本支店長(左)

こうした取り組みの中で生まれた副産物もある。日本グランプリが開催される鈴鹿市の市長と尼崎の市長はともに女性で、しかも全国1、2位の若さ。その縁で市長対談を実現し、2つのまちをつなげた。「いろいろやっていく中でアイデアが生まれてきます。応援ツアーも尼崎だけでなく、鈴鹿にもメリットがあるように」。そんな広がりが地域振興の面白さと打本支店長は思う。

大阪、神戸に近く、何もせず待つだけの店舗では勝ち目はない。まちに飛び込み、人の縁を築く。「尼崎の人たちに頼りにされる店でありたい」。描くのは、近所のおっちゃん、おばちゃんがぶらりと立ち寄る店だ。

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