"関係性"をつくる　日本旅行Ｔｉｓ大阪支店（3）

申込書とパンフレットだけを見て客の目を見ない"さばき対応"ではないＴｉＳ大阪支店ならではの接客へ、上田さんは支店スタッフ全員参加の場づくりに方向性を見出す。シフトごとの縦割りのチーム編成に、ＣＳ・美化や国内販促、海外パンフ、ディスプレイ、ポップなど９つの委員会を横串に通した。

「時間をかけてお客様を旅行好きに」

「その小さな成果が、店頭イベントで各地から観光キャンペーンに来る人たちへのお声がけです」。同店では立地の良さもあって、県の観光キャラバンなどの場を提供している。ただ、これまでスタッフは業務に忙殺されて、せっかく地方から来た人に目を向けることは少なかった。

「せっかくイベントがあるからとポップ委員会が店内でお配りする予告チラシを作成し、当日のイベント時も『ごくろうさま』などと声がけをする。小さなことですけど」と上田さん。

そんな一体感が同店の誇るウェディング、クルーズ、ヨーロッパ専門デスクのスタッフが持つスキルが他のスタッフに広がることにもなる。

「ぶらりと入ってきて、なんとなく旅行でもするか、というゴールの見えないお客様を時間を掛けて旅行好きにする」。「そして、お客様がこのスタッフでなかったらダメというふうになって、そんなお客様をスタッフ１人で10人つくる」。上田さんは、そこに店頭販売の活路があるとみる。

大手旅行会社でも、ウェブ販売が急伸する一方店頭販売は縮小傾向だ。上田さんは「目指すはＴＤＲです」と笑った。