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「納得できない値上げ」 宿泊団体が東電に撤回求める(2)

東京都ホテル旅館組合の今井明男理事長が3月6日、東京・平河町の全国旅館会館で、東京電力の鎌倉賢司・執行役員法人営業部長に文書を手渡すとともに、口頭で値上げの撤回を求めた。

原発事故とダブルパンチ 反対運動展開へ

文書では、電気料金の値上げが、東京電力福島第一原発事故による直接および風評被害で宿泊客が激減し甚大な被害を被った東京の旅館ホテルの経営を一層圧迫するとして反対の意志を表明。値上げの根拠が不明確なうえ、事前の説明が一切ないことなど、一方的なやり方も承服できないとしている。

今井理事長は面談でも「原発事故で外国人旅行者も回復していない。700軒の組合員には経営がどん詰まりまできているホテルもある」と、改めて値上げは納得できないと抗議した。電気料金の値上げで年間の負担増は40室のビジネスホテルで80万円、100室のビジネスホテルで100万円程度となる試算もある。

これに対し東電側は前日に発表した3つの電気料金圧縮プランを説明しながら「旅館ホテルの平均値上げ率は全体より低い14―15%程度。圧縮プランを利用すれば値上げ率をさらに3割程度、平均9%程度まで圧縮できる」などとし、理解を求めた。

値上げの期間については「3年後には元の料金に戻し、さらに3年後には現行より安い料金にしたい」と目標を示した。

一方、3月30日までに値上げを伴う需給契約変更に同意しなかった場合について東電は「4月以降も各施設との契約満了時まで値上げのお願いを続けます。契約期間が切れてしまった場合は、電気を送ることはできなくなります。そうならないよう努力を続けます」と神妙に説明した。

東電では福島第一原発の事故後、夏期の停電対策として昨年6、7月に電気の大口利用者に契約電力の引き下げを求めている。そのため東電と東京の旅館ホテルとの電気の受給契約の満了期も6、7月に集中している。施設側が値上げを拒否した場合は契約満了時まで現行の契約料金が適用される。

東電から旅館ホテルにはすでに値上げをお願いする文書が届いており、そのなかで値上げを了承しない場合は3月30日までに東電の専用電話に連絡するよう求めている。値上げ拒否の意思表示をしない場合は、電気料金は値上げされる。

このため東京都ホテル旅館組合では2月27日、組合員に対し文書を送り、値上げに反対の場合は東電に電話で拒否を伝える必要があることを周知した。値上げ反対運動の一環として、拒否の意思表示が広がることに期待している。

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