訪日旅行者倍増目指す 新・観光立国推進基本計画(2)
新しい計画は「観光の裾野の拡大」と「観光の質の向上」を方向性に掲げ、国の成長戦略や東日本大震災からの復興に観光が寄与していくことを新たに計画達成の目的に加えた。
基本的な方針は、震災からの復興▽国民経済の発展▽国際相互理解の増進▽国民生活の安定向上の4本柱。2016年までに達成する数値目標に、訪日旅行者と日本人旅行者の観光地域に対する満足度を加えているのも特徴。
07年の基本計画では、5年のうちに(1)訪日旅行者1000万人(2)海外旅行者2000万人(3)国内旅行消費額30兆円(4)日本人1人当たりの年間の国内観光旅行宿泊数4泊(5)国際会議開催数の5割増―などをあげていた。
このうち目標を達成したのは国際会議の開催数のみ。目標年のそれぞれの実績は訪日旅行者が861万人、海外旅行者は1664万人、国内旅行総消費額は25兆5千億円(09年)、日本人の年間国内観光旅行宿泊数2.12泊だった。
見直し後の計画では、訪日旅行者数は目標の1000万人を1800万人へとかさ上げした。5年で2倍以上の拡大が必要になる。さらに20年には2500万人を目指すとした。
海外旅行者数2000万人、国内旅行総消費額30兆円、国際会議の開催数5割増は、それぞれ目標値を据え置いた。国際会議についてすでにアジアでトップの開催数となっており、引き続き首位の座の堅持を目指す。
一方、日本人の年間国内観光旅行宿泊数は、目標を年間4泊から2.5泊へと大幅に引き下げた。年間の国内観光宿泊数は、07年に観光立国推進基本計画で拡大目標が掲げられた以降も下降を続け、06年度の2.77泊から10年度は2.12泊へと減少した。5年で0.65泊、率にして23%の減少と歯止めがかからない。反転へ向け、まずは今後5年で2.5泊までの回復を目標とした。
新たに設けた満足度については、訪日旅行者と日本人旅行者についてそれぞれ目標値を定めた。
11年に行った訪日外国人消費動向調査で訪日旅行者の満足度は「たいへん満足」が43.6%、「必ず再訪したい」が58.4%。これを16年までに「たいへん満足」を45%、「必ず再訪したい」を60%とすることを目指す。
また、日本人旅行者を対象にした観光地域の総合満足度調査を新たに行い、「たいへん満足」と「必ず再訪したい」の割合を16年までに25%程度にすることを目標に据えた。満足度調査は7段階評価を予定しており、観光庁では25%という数値について、「4人に1人がたいへん満足している状態」とし、意欲的な目標とみている。
観光庁では、地域のブランド化や広域連携などによる魅力ある観光地域づくり▽オールジャパンによる訪日プロモーション▽MICE分野の国際競争力強化▽休暇改革の推進―主導的役割を担う施策として掲げた。年度ごとに施策の点検・評価を行い、関係省庁に翌年の施策に結果を反映させるよう働きかける、としている。