ANTA、支部の移行方針固める(2)
一般社団法人移行に伴う支部の考え方は5月15日に東京都内で開かれた理事会で明らかにされた。
各県に一般社団の協会設置 協会の出向者と委員で運営
4月まででほぼ固まっていた当初案との大きな違いは、支部の受皿組織が一般社団法人に限定されたこと。それまでは一定期間(2年間)の間は事業協同組合でも構わないとしていた。
この当初案には、監督官庁に当たる観光庁がANTAと分離する形に「難色を示した」(関係者)ことと、中小企業協同組合法により事務の受託ができないと判明したため。「旅行業法に基づく指定協会としての業務を的確に実施する」(理事会資料)ことが前提となることから、移行後の支部はANTAの内支部として位置づける。支部は「ANTA本部の指揮監督の下で業務を適切に運営する」(同)ということだ。
内支部には、今年度中に各都道府県での設置が義務づけられている「一般社団法人○○県旅行業協会」(名称も統一)から出向した職員が業務に当たる。
内支部の業務は、苦情弁済など法定5業務や国家試験と災害補償制度の集金に限る。内支部の運営には出向職員のほか、ANTA会員の若干名が非常勤で運営委員に就く。ANTA会員は全員、内支部にも自動入会することになる。
既存の都道府県支部は、法人登記されていない任意団体なので解散する。同様に任意団体の旅行業協会も解散、財産整理(会員に変換)し、前記の一般社団法人○○県旅行業協会に一本化する。ただし、新・旅行業協会の入会は任意で、ANTA本部とは別個の独自会計で運営する。
事業会社、協同組合については従来どおりで全旅の配当などを収受する。
移行後の会費については、ANTA本部が本部会費と協会支部会費を徴収する。これまで、新法人案で提案されていた本部会費の1万円値上げ案は撤回され、協会支部会費とした。具体的な金額は「今後至急検討する」としているが、現支部会費と同程度になりそうだという。
各都道府県支部の総会が始まり、一般社団の旅行業協会設立が執行部から説明されている。一部会員からは「また新しい組織をつくるのか」「わかりづらい」などの声があがる。ただ、これまで法的には任意団体の扱いだったANTA支部が法人化し、社団法人の旅行業協会も立ち上がる。関係者の1人は、旅行業が公益性の高い業種として認知されステータスが上がる好機とみる。