「お客様の力で蘇る」 阿蘇復活への4カ月(2) 阿蘇の重要性を再認識
―旅館組合加盟22軒のうち15軒も被災されるという、これまでにない大変な状況で、旅館組合存亡の危機だったのではないですか。
「お客様が我々を蘇らせてくださった」
稲吉 確かに大変な状況でした。実際、まだ3軒がオープンできていません。しかし10年後、20年後を考えると「大切なものも失くしましたが、いらないものを捨てることもできた」と、プラス面で捉えています。
望んで行ったわけではありませんが、15軒がほぼ同時期にリニューアルするなんて通常では考えられないことです。
―一温泉地で15旅館が一度に設備投資をしたという話は聞いたことがありません。
稲吉 とはいうものの相当な被害でしたから、もうやめてしまおうと思われた旅館も少なからずありました。
そういった中、お客様に励まされたり学生がボランティアに駆けつけてくれたりしまして、その姿が励みになって営業を続けることを決意された旅館が結構あるんです。このことはある意味で、お客様が我々を蘇らせてくださったと思っています。
また、道路が遮断され、宿泊施設が使えなくなったことで、阿蘇がいかに九州の中で重要な位置づけであったのか、我々地域の者も再認識しましたし、熊本県外の方々も同じように思われたのではないでしょうか。
道路整備や旅館の受入態勢がほぼ整ったのですから、これからの1年、阿蘇地域は必ず飛躍するものと信じています。