2013年の観光を占う 9氏の「観」字(2) 観光新時代へ経営体質強化を
昨年は東京スカイツリー、LCC(格安航空会社)の2大トレンドが観光業界を席巻した。昨年「塔」を挙げて"的中"させた井門隆夫さん(井門観光研究所代表取締役)の今年の一字は「神」。
個性の光を磨いて
今年は伊勢神宮の式年遷宮年であることからも観光動向は「神のみぞ知る」とトボけるが、「社会不安が広がると神と温泉に足が向くのは江戸時代から同じ」として今年は期待できると断言する。
トレンドについては円安や消費税増税前の駆け込み需要で国内旅行復活とするが、それも「最後の晩さん」。経営体質強化への最後のチャンスの年と奮起を期待する。
もう1人、意味は異なれど昨年「翼」の松坂健さん(西武文理大学サービス経営学部教授)も的中者。観光トレンドだけなら中小企業金融化法の期限切れなどから「縮」という残念な一字も考えられるが、あえて「輝」を抜てき。「我が店、我が館の個性を輝かせれば暗い世に明るい光芒を放てるはず」。そして「個性の光をもたなければ何も残らない」と強いメッセージを送る。
同じように「光」を強調するのが小原健史さん(和多屋別荘代表取締役)。観光の原点、「光」を磨くことの重要性を説く。自分のテリトリーである「旅館と地域の光を磨きたい」と自らを鼓舞し、業界に対しては「顧客目線による対応力」強化を呼びかける。
平和産業である観光産業は社会情勢の影響を大きく受ける。昨年、隣国の中国、韓国との関係が悪化し、国際観光は大打撃。「隣」を挙げ、関係改善を期待する橋爪紳也さん(大阪府立大学観光産業戦略研究所長)の考えは皆の声を代弁しているようだ。