旅館業界に"激震" 耐震改修促進法成立に懸念(2) 改正案周知に時間なく
耐震改修促進法(建築物の耐震改修の促進に関する法律)は阪神淡路大震災で多くの建物が倒壊したのを教訓に、95年12月に施行された住宅や不特定多数が利用する一定規模以上の「特定建築物」の所有者に耐震診断や改修に努めるよう求めている。06年に改正され、16年までの10年間で耐震化率90%という数値目標が設定されている。
「施設にとっては死活問題」
今回の改正案は、東日本大震災の発生や、今後、発生が予測される東海、東南海、首都直下型地震への備えとして数値目標を着実に達成することが目的。旧耐震基準(81年の建築基準法施行令改正以前)の建築物すべてを耐震診断・改修の努力義務対象としたうえで、旅館ホテルや病院、店舗など旧耐震基準の特定建築物で5千平方メートル以上の大規模施設、地方自治体が指定した緊急輸送道路沿道建築物などについて、16年末までの耐震診断および報告を義務化し、診断の結果を公表することにしている。
会見で佐藤会長は、2月21日に開いた全旅連理事会で国交省から改正案について説明を受けたことを紹介しながら、「耐震化は必要ですが3年しか時間がないなかで診断や改修の資金をどうするのか。対象施設にとっては死活問題なのに、説明を受けたのは数日前で、多くの当事者に知らされないままに改正案が提出されようとしている。組合員に改正案の内容を周知するとともに、時間がないなかで対応策を検討していきたい」と協力を求めた。
耐震診断の資金について、国交省は14年度予算で追加支援策を用意。現行は地方公共団体の耐震診断補助制度がある場合に、地方公共団体と国で費用の3分の2を負担するのに加え、新たに6分の1を国が補助する。これにより耐震診断についての所有者の負担費用の6分の1に削減される。自治体独自の補助金制度がある場合は所有者負担がゼロの場合もある。
また、追加支援では自治体に補助金制度がない場合にも国が3分の1を補助することにしており、この場合は所有者負担は3分の2となる。