旅館業界まったなし―佐藤・全旅連会長に聞く(3) 震災の受入拠点に
―東日本大震災では多くの旅館ホテルが被災者を受け入れました。
3・11の時は延べ525万人泊を受け入れました。もし南海大地震が発生し32万人もの人が亡くなり、950万人の避難民がでた場合、国民全体が救援し、震災地の救済が必要になります。
国のためにも旅館が
そこで、我々は各県の皆さんにご協力いただいて、各都道府県の旅館ホテルの収容人員を出してもらいました。47都道府県には1万6千軒の会員がおり、150万人の収容があることがわかりました。しかし、全体では950万人の被災者が出るわけですから、3・11の時も体育館や公民館で1カ月も2カ月も生活されていたことと同様の事態が起こる可能性は低くありません。
仮設住宅についても調べてみました。東北3県で5万1千戸、このほかを入れると5万4千戸の仮設住宅が必要だったそうです。ただし、震災から1カ月以上経った4月30日の段階では、わずか68%しかできていませんでした。仮設住宅の資材の在庫がそろっているわけではなく、土地も探さなくてはなりません。結局、5万4千戸の仮設住宅は簡単にできるものではなかったということです。しかも価格は1戸あたり600万円。3千億円以上のお金を投じたわけです。
ただ、使ったあとはすべて廃棄しなければなりません。言葉は悪いですけど、3千億円がゴミになるんです。南海大地震に見舞われたら、仮設住宅は5万4千戸では到底足りません。何十倍も必要です。しかし、我々旅館ホテルが被災者を受け入れることはできます。国民の命を守るためにも、国のためにも我々が被災者を受け入れることによって、こういった大きな無駄が省けることにならないでしょうか。