口コミを生かす(3) CSだけでなくESに活用
神戸市のホテルは口コミの書き込みを毎朝ミーティングで発表し、全スタッフで共有している。もともと朝食が売りのホテルだったが、ある時、朝食会場の混雑ぶりを嘆く口コミが投稿された。その対策として7時に神戸ビーフカレーを時間限定メニューとして出し、朝食の分散化につなげている。
「「口コミを肯定的に」
千葉県のホテルは口コミ対応専任のスタッフを置いた。すばやく対応しホテル内に口コミ情報を還元するためだ。
河嶌さんは「口コミを肯定的に捉えることが大切です。よい評価を得た場合はその担当者に直接伝え、皆で共有する。悪い評価も皆で改善点を話し合う。そうすると従業員のスキルアップ、やる気につながる。口コミ対応はCSだけではなくESでもあるんです」。口コミ対応に即効性はないが、継続してやっていくことで確実に宿泊施設、レストランの評価は高まっていくという。
トリップアドバイザーは、基本は無料。自社HPへのリンクや在庫管理機能などを付帯すると料金がかかるシステムになっている。ホテルの普及は進むが、旅館はまだ数えるほどだ。河嶌さんは「口コミはネットの世界だけではありません。旅行会社もお客様からの問い合わせに口コミを参照しています。リアルに、世界にいろんな所につながっています。ぜひ活用してほしい」。
現在、同社では東北地方への口コミ1件に対して100円を寄付する観光支援活動を行っている。風評被害に対抗する新たな取り組みとしても注目されている。