貸切バスに新制度(3) 対応に不安と指摘の声
新制度は、これまでの商慣習上で不透明な点が少なくない。
従来の商習慣との差 業界発展のきっかけにも
旅行会社からの疑問は「手数料」の扱いだ。近畿運輸局の説明会に出席した旅行業関係者によると、国が示しているキロ単価、時間単価に旅行会社に支払われる手数料が加味されているのかという質問が出た。これに対しては、後日文書で回答すると応じたらしい。
また、バス会社関係者からは「傭車」についての話を聞いた。繁忙期では複数社間でバスを融通することは、これまで商慣習上やってきた。その場合、見積段階での出庫場所と実際の出庫場所が異なり運賃に差異が生じる。バス会社経営者は「そんな契約はするな、と言われればそれまでだが、現場の実態を加味し制度運用を示してほしい」とこぼす。
貸切バス会社は、旅行会社のほか学校法人などと年間契約をしている事例もあり、「明確な回答がほしい」。
さらに、年をまたいで計画を立てる修学旅行などは見積額との差異をどこが負担するのか。「毎月積み立てで子どもから集めた修学旅行費をさらに上乗せというのは可能なのだろうか...」と不安視する。
別のバス会社は「今回の新運賃は高くなっているわけではない。旧運賃は、届出制運賃の名分でなし崩し的に適当運賃になってしまった。加えて規制緩和以降増え続けた新規バス会社のずさんな労務管理もある。昨今の重大事故の要因が業界全体の構造にあると思われても仕方ない」と指摘し、業界が共に発展する方向性を見出すきっかけにしたいと話す。