お上にもの申す-貸切バス新制度(3) 拙速感と不公平感強く
新制度は、新運賃・料金の届け出申請を貸切バス会社に促し8月からの適用を予定するが、実態はバス会社によってまちまちだという。
「正直者が損をする」 経過措置延長も要望
京都府支部の上原龍男支部長は、支部会員と懇意にしているバス会社にヒアリングした。「いつ申請して、いつから新運賃が適用されるか不明確。旧運賃のままで受けるバス会社もあるのでは」と話す。
和歌山県支部の桃原哲生支部長も「バス会社によっては7月30日までに契約書を交わせば、来年の仕事でも旧料金でやるというバス会社もあると聞く。そのため今秋のバスの仮押さえがやけに多い。正直者が馬鹿を見るような改正にならないかと危惧している」。
滋賀県支部の中河茂支部長は「滋賀県はバス会社だけの説明会を急きょ知って、出席したい旨を伝えると会場が狭いから立って聞いてもらわないといけないかもしれないと言われた。正直、様子見をしている会員が多い感じだ」。
そのため近畿支部連絡会の要望書には周知徹底とともに、新制度の運用時期の拙速を訴えている。永野議長は「制度改正を発表してから運用開始までが短か過ぎる。今年度内来年3月末までは経過措置期間として要望したい」と要望書に盛り込むことにした。
また、制度上の不公平感を訴える会員の声を各支部長が代弁した。それは、最低運行時間を5時間とする根拠と、実走時間の前後1時間ずつを点検などの時間としてカウントされる時間制運賃。
中川支部長は「関西空港へお客様を送って、帰りは回送でも料金がかかる。しかも最初の1時間と最後の1時間は点検の時間が加わる。仕事をやって終わって、午前だろうが午後だろうが関係ない。だけど昼は点検時間をつけなくてもいいらしい。矛盾しているのではないか」と指摘する。
永野議長は、近畿のANTA支部長の総意としてANTA本部に提言することを決め、(1)国土交通省は旅行業界・バス業界以外にも広く国民に周知徹底(2)制度の運用時期は拙速で経過措置期間を検討してほしい(3)最低運行時間(5時間)の根拠など現状にそぐわない基準と一部運賃の見直し―を明文化した要望書を作成することにした。