お上にもの申す-貸切バス新制度(4) ANTA会員ならではの対抗策を
国交省が打ち出した貸切バス運賃・料金制度に対するANTA会員の不信感は大きい。
取材メモ 現場の声を制度運用弾力化に
制度の導入にあたっては、ここ数年相次いだ高速ツアーバスの事故などを背景としていることから、旅行者の安全安心の確保という面でANTA会員も理解している。ただ、ANTA会員に対して「説明会に来たいならどうぞ」のような対応、「JATAはOKしている」ということを面前で言われたらたまらない。他産業と同様、大手重視で中小零細は切り捨ての制度と訝る気持ちになるのは仕方がない。大手企業は裏取引をしているから新制度を飲んだという猜疑心も生じることになるかもしれない。何より、旅行業の現場を知らない机上論で設計された制度だという認識が強い。
多くのANTA会員が指摘するように、制度運用に当たって現場の声を反映させたいなら旅行者に関心を持ってもらう努力をしたい。その点、近畿6支部の支部長が周知徹底を呼びかけたのは当然だ。安全・安心に対価を求め、バス会社とともに旅行の質も向上を図る決意を示したものだと言えるだろう。観光立国を支える地域間の交流を促す血流としてバスの旅の意義を訴え、現場の声を反映する制度運用の弾力化を働きかけたい。
一方で、バス値上げの対抗策として、地域の自治体などにバス旅行誘致の助成金を求める動きがあると聞く。それでは旅行者にバス代と税金の二重負担を強いることになってしまわないか。地域密着を掲げ長年取り組んできた「地旅」の発想の中に、ANTA会員ならではの対抗策を見出すことはできないだろうか。