会員目線で改革を-日本旅館協会・針谷新会長に聞く(3) ネット予約強化と全旅連連携
―具体的に動いているものはありますか。
クレジットカードの手数料低減については仕組みづくりを模索し、何件か当たっています。観光庁とは一緒に勉強会をする同意もいただいています。ネットについても、去年のインターネット委員長時代に経費を約10分の1に済ませることをワーキングの皆さんに手伝ってもらってやり遂げることができました。
組織強化へ連帯感
ネットは今年度、集客につながるものにしていきます。会員に直接メリットを感じていただくため全国でネット予約セミナーを開催したいと思います。特にFIT、多言語化、スマホの対応ということを含めて、全体として非常に遅れているので底上げを図ります。
組織は、先端の部分を突き進むということと、それと同時に全体を底上げすることが必要です。同時並行的にやらないと、組織は良くなっていきません。底上げの部分はネット予約セミナーです。各連合会には優秀な人がたくさんいますので、連合会ごとにITの委員会を作っていただく。彼らが具体的な作業をする中で、連帯感も持って方向性を確認し合い勉強していければ次世代に役立ち、それが底上げになります。
委員会は4つ作ります。全部プロジェクトチームとして位置づけ、単に考えるだけではなく、成果を求めていくことにしたいですね。
―旅館業界には様々な問題もあります。
そうです。耐震の問題は全旅連さん(全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会)と耐震対策本部をつくっています。クリエイティブな部分というのは協会の仕事としてやって、業界全体の問題はオール旅館の体制で、全旅連さんと一緒にやった方が効率もいいし、効果も期待できる。屋上屋を重ねるようなことをしても力が分散されるだけです。きちんと棲み分けをします。事務所はできるだけ早く(全旅連と同じ)全国旅館会館に移し、連帯を深めていくことを佐藤信幸・全旅連会長とも話しています。
政治折衝の問題は、例えば固定資産税の減免はこれからもあるだろうし、入湯税も出てくるかもしれません。税制のことについては一緒にやっていった方がいい。業界にとって何がいいのか、会員旅館にとって何がいいのかということから発想していきます。
―今回、会長職の任期制や定年制を導入されました。
正副会長は70歳定年制と1期2年の任期制を採用してもらいました。これは全旅連さんにもない。一歩前進だと思うんですが、事情がある場合は、もう1期できることになっている。そんなファジーな部分は良くありません。誰が見ても理解ができるような形にしていかなければならないと思います。
―1期2年は非常に短い。仮に事情があったとしても4年です。
与えられた任期の中でがんばるしかない。スピード感が大事です。リーダーシップです。意思決定をできる土壌の問題だけでしょうね。
関西支部連合会は西村肇さんの強力なリーダーシップがありました。新型インフルエンザの時がすごかった。神戸で出た翌日に大阪に集まり、その次の日は東京です。大臣、自民党の幹事長に会いました。あのタイミングだから会ってくれたんです。あのスピード感は非常に勉強になっています。