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「維新伝心」の集大成-全旅連青年部(3) 旅館の世界発信に手応え

―2年目に入り、急にインバウンド関連の活動が目立った印象です。5月のOECDウィークや、7月のジャパン・エキスポへの出展と、続けてパリを訪問し日本の旅館をアピールしました。

OTAと真のパートナーに

山口 実は桑田くんとは6年前から一緒に活動しています。当時は青年部の「観光まちづくり探究委員会」で、私が委員長で桑田くんが副委員長でした。委員会の活動テーマは国内旅行の活性化とインバウンドの活性化でした。そこで青年部も海外に目を向けようと考え、ITF(台湾国際旅行博)やTITF(タイ国際旅行博)、世界最大の旅行博とされるITBベルリンなどに、メンバーを募って出かけていました。渡航費など委員会としての予算はないのですべて自己負担でした。そうした旅行博に参加するなかで観光庁や日本政府観光局と人的なつながりも増えました。今年になってから、海外の要人や日本に関心のある人たちに日本旅館をアピールしてはどうかとお誘いもあり、OECDウィークやジャパン・エキスポに参加させていただきました。今期も予算的措置はないので、希望者で取り組みましたが、日本の旅館の若手経営者が、直接OECDの閣僚に日本旅館の魅力を伝えることができたことに手ごたえを感じました。旅館は世界の人が泊まってみたい、またはレジャーの目的となる施設として国際的な競争力があると確信しました。

同時に課題も分かりました。旅館というものが世界に知られていませんし、予約の手段も確立されていません。自身も含めて、青年部員が海外の人に旅館を短い言葉で的確に伝えられるようになることも課題です。

山口敦史さん

山口 敦史さん
山形県天童温泉
ほほえみの宿滝の湯

―山口部長の活動を傍らで見てこられて、どんな印象ですか。

桑田 山口部長は、しっかり計画を立て、準備して実行に移すというプロセスに対する意識と実行力が特出していると思っています。最初にあげた旗を、ぶれることなく掲げ続ける姿勢がとても参考になります。現在の問題だけでなく、未来への準備に目が届きます。例えばインバウンドですが、組織の議事録にのる活動だけではなくても、有志を募ってでも行動に移すことができるんだということを学びました。

―今期の桑田さんが取り組んだのはどんな活動ですか。

桑田 私が担当したのは、旅館ブランドをしっかりつくり、それを世界に伝えていくということです。日本の伝統や生活文化が一番凝縮されているのが旅館です。これを世界にアピールし、体験してもらうことで、訪日旅行の満足度が上がると確信しています。もう1つは、流通の課題です。インバウンドを未来とすれば、台頭するOTAとの折衝は現在の問題です。ビジネス・パートナーとして、お互いを尊重しながらやっていける環境整備が必要だと思っています。

―業界にとっての青年部の役割はなんでしょう。

山口 旅館ホテル業界の登竜門としての役割があります。青年部員の多くは、将来の経営者として若くして旅館に戻ってきます。戻ってくると先輩に誘われて青年部に入り、やがて何人かは全旅連青年部本部に出向します。そして、今度は後輩を青年部に誘う。こうした、いいスパイラルが理想です。私たちの役割は、このようないい循環を生む場を提供し続けることにあると思っています。

観光業界のなかの青年部としては、様々な省庁との連携も必要な時代だと思います。全旅連の佐藤信幸会長からも「青年部は夢を持ってやりたいことをしなさい」と言われています。全旅連の所管は厚生労働省ですが、今期は観光庁、国土交通省はもちろん、農水省、経産省、外務省、文科省とも交流を持っています。

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