15年の観光を占う 四字熟語で示す一年(4) 実直に質、価値高める
【値格変動】は、山田さんの値段の値ではなく価値の【値】▽ますますシビアになる地域差や実力の格差を乗り切るために品格を磨くこと、とする永山さんの【格】からの創作四字熟語。
実力・品格磨いてこそ
自らの首を絞めかねないと言われて久しい価格競争。山田さんは「値は人に直と書き、人が実直にやってこそ価値は生まれる。数値だけではなく、お客様が行こうと思う値打ちを生もう」と指摘。永山さんは円安、景気、耐震などの外圧が顕在化し格差が著しくなるが「実力を磨くのはもちろん、品格を磨くことを忘れてはならない」と説く。業界のものさしを価格的な数値から、価値や品格に置き換えることが必要なのだ。観光業界から地殻変動を起こし、名実ともに観光立国を築く一里塚にしたい。
さらに今年の観光トレンドについて。井門さんは(旅館)の耐震診断の期限年であり、地震のリスクもあることから『震』が浮かんだが「縁起でもないのでやめました」。「暗くなっても仕方がない。カラーラン(色とりどりのカラーパウダーを浴びながら走る米国産のイベント)やハロウィンなど世の中を明るくするイベントが流行りそう」とみる。
佐藤さん、井村さんは旅館業法のいう「簡易宿所」の増加を予測する。14年には京都、愛媛、長崎、沖縄など6府県で旅館より簡易宿所が多くなった。町屋、ゲストハウス、4室以下の高級和風施設などで「Airbnb登録など旅館業法不適合の民泊も増加する」(佐藤さん)。
松坂さんは「アフォーダブル・プライス・ツーリズム」という聞きなれない言葉を挙げた。アフォーダブルとは「わっと飛びつきたくなるほどインパクトがあるもの」。でも、ロープライスでも品質面で我慢しなければならないようなものは仕方なく買うものだから、アフォーダブルではない。質をともなった「えっ、この価格でここまでやってくれるの」というツアーや宿泊施設が選ばれる。「こんな経済の不安な時代にレジャー消費は出てこないのじゃないか」と考えることが必要なのだ。
山田さんは、それを「小手先のイベントやゆるキャラ、B級グルメではなく、実直にやってこそ、おもてなしやサービスのクオリティは上がっていく」とした。