地方創生なるか-観光庁予算から(3) 訪日客分散の流れつくる
補正予算では新たに「地方創生交付金」も創設された。政府が示した具体的なメニューには、地域消費喚起・生活支援型(総額2500億円)として「ふるさと名物商品・旅行券」などを、地方創生先行型(同1700億円)として宿泊施設などでの無料WiFiの設置などを挙げた。訪日外客の地方への流れをここでも支援する。
「地方創生は本気」
交付金について、兵庫県立大学大学院の佐竹隆幸教授は、大阪市内で行った講演(トラベルニュースat1月25日号11面参照)で次のように話した。
「アベノミクスは第二、第三の矢は具体策が示されていません。その中で地方から国を元気にしていく地方創生は世界でも類例のない取り組みです。現在、定住人口によって決まる地方交付税交付金は過疎地には不利。これを交流人口の数でも評価しようとする動きがあります」
「17年4月の消費税増税に伴い、軽減税率が検討されていますが、対象物の線引きが難しく無理でしょう。物品やサービスではなく、地域によって税率が変わる、例えば東京10%、青森8%のようなことができれば、安倍さんの地方創生は本気です」
15年度当初予算には「地域資源を活用した観光地魅力創造事業」に2億9千万円を計上し、選定地域の資源を世界に通用するレベルまで磨き上げる計画策定、2次交通の実証実験、受入環境整備などをパッケージで支援する。「ICT(位置情報データベース)を活用した訪日外国人観光動態調査」には1億円を新たにつけ、2020年までに地方への流れを定着させたい考えだ。
こうした地方へのテコ入れにより、佐竹教授は「地方の観光客誘致合戦が開戦する」とみる。