「爆買い」と「地方創生」―15年の観光番付(3) 業界外も注目する2横綱
東正横綱の「爆買い」は、今年の横綱審議委員会での番付編成会議で満場一致の選出だった。
観光業界だけでなく日本経済をけん引
訪日外国人観光客は13年後半から伸び続けている。過去最高だった14年の1341万人は9月で早々と抜き去った。15年累計では、政府が「高み」と目標設定していた2千万人を目前に捉える1900万人台に到達する勢いだ。
増え続ける外国人観光客は徐々に地方にも拡散しはじめているが、今年特に目立ったのは中国人を中心とした都市部でのショッピング。大阪市の心斎橋筋商店街など、にわかに観光名所化するところも増えてきた。今年7―9月の訪日外国人消費動向調査によると、同期間の総額は前年同期比81.8%増の1兆9億円と1四半期で初めて1兆円を突破した。このうち4660億円は中国人客。1人当たりでも平均消費額を10万円あまり上回る28万円超となっている。
爆買いを後押ししたのが、免税対象品の拡大と免税店の増大。免税店数は今年春から半年間で1万店以上増え2万9千店になった。地方でも増加が目立っている。
その地方へ、増大するインバウンド効果を波及させることもねらったのが、西の横綱「地方創生」だ。特に「地域住民生活等緊急支援のための交付金」を活用した宿泊代などが半額になる「ふるさと割クーポン」は大きな反響を呼んだ。
リクルートライフスタイルによると「じゃらんnet」などで展開している「ふるさと割クーポン」を利用した宿泊予約は19万6千件に上る。今年10月までに、48の自治体から「ふるさと割クーポン」を受託。1宿泊取扱額は約64億2千万円に達した。
同社では、宿泊取扱額はクーポン原資額の3倍以上にあたり、宿泊における高い経済効果を生み出したと分析。これまでの宿泊旅行調査の結果から1回あたりの宿泊旅行費用は宿泊単体の費用のおよそ3倍の消費額であると推計されることから、ふるさと割クーポンがもたらした旅行消費額(推計値)は約192億8200万円と見込む。
当初は、一部自治体が発行したクーポンが転売目的で買い占められるなど社会問題化したこともあったが、地域観光に一定の寄与をしたことは間違いない。