「爆買い」と「地方創生」―15年の観光番付(4) 東大関は北陸新幹線開業
また地方創生に伴う交付金では、貸切バスの運賃・料金制度の改正に伴うバスツアーの減少に対応する施策を打ち出した自治体も少なくなかった。本紙6月25日号では全国各自治体に一斉に調査し、バスツアーに限定した助成金の有無を尋ねた。その時点で19道府県、22市、3町、1地域が旅行会社を対象にした助成金を設定していた。貸切バス制度は昨年の横綱に続き、今年も関脇に番付したが、観光業界全体に与えた影響はいまだに尾を引いている。
貸切バス問題尾を引く 民泊問題も本格化
貸切バス助成金の一覧は読者に大きな反響を呼び「申請して助成金がもらえた。ありがとう」などの声も届いた。ただ、その一方で「助成金はずっと続くわけではない」(旅行会社)、「ふるさと割クーポンがなくなると割高感が強まり、宿泊旅行離れが進むのでは」(旅館)と将来を不安視する意見も寄せられた。
「地方創生」が番付外の大横綱になることを期待したい。
東大関の「北陸新幹線開業」は、間違いなく今年の国内観光市場をけん引した。新幹線で直結した首都圏だけではなく、関西などからも多くの観光客が訪れた。金沢など新幹線が直接乗り入れた場所だけではなく、能登や福井県などにも波及。JTBの動向調査(2面参照)によると、この年末年始も旅行先として北陸人気は続いている。
西の大関は「民泊」。10月に大阪府が特区における民泊条例を制定。東京都大田区も11月に区議会へ条例案を提出した。訪日外国人旅行者の急増で東京や大阪などの宿泊施設が足りないというのが大義名分。
ただ、安全面や治安が不安視されている部分があり、法規制を遵守している旅館ホテルからも反対の声があがる。Airbnb(エアビーアンドビー)などすでに有名無実化している面も否めないが、今年11月には京都市内でマンション民泊業者が旅館業法違反で京都府警に摘発される事件も起こった。