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「爆買い」と「地方創生」―15年の観光番付(5) "遺産ラッシュ"や自然災害

3年連続の世界遺産登録となった「明治日本の産業革命遺産」は張出大関。長崎・端島炭鉱や鹿児島・旧集成館、山口・松下村塾など山口、福岡、佐賀、長崎、熊本、鹿児島、岩手、静岡の8県23施設が構成資産として登録された。いずれも歴史的な資源が改めて観光スポットとして人気を集めることになった。来年の世界遺産登録を目指している「長崎の教会群とキリスト教関連遺産」が続けば4年連続の快挙になるが...さて。

端島炭鉱

世界遺産のひとつ
長崎県・端島炭鉱(軍艦島)

観光交流の意義大きく 歴史はやっぱり強い

世界遺産の一方、今年4月には文化庁から「日本遺産」が発表された。第1弾は、四国4県合同での「四国遍路」、福岡県太宰府市「古代日本の『西の都』」、鳥取県三朝町「六根清浄と六感治癒の地」、兵庫県篠山市「丹波篠山デカンショ節」など18件。今後も年1回程度の認定を進め、東京オリンピック・パラリンピックが開かれる2020年までに100件程度まで増やす計画だ。

関脇の「シルバーウィーク」。6年ぶりの秋の大型連休は各地へ旅行者数を増やした。次回シルバーウィークは2026年まで待たなければならないそうだ。それまでの間にブロンズウィークが登場することはないか。

今年は、日韓国交正常化50周年を記念して2月に1400人の訪韓団、5月には3千人の日中観光文化交流団が北京を訪れた。いずれもANTAの二階俊博会長がけん引する格好で、政府間の2国間関係の冷え込みを観光関係者ら民間の力で改善を図った。日本のアウトバウンド市場の冷え込みが続く中、これら「大訪問団」は三役の役目を果たした。

ANTA二階俊博会長

2月に1400人を率いて訪韓した
二階ANTA会長(左)

甚大な、数十年に一度の、ン年ぶりに...とまくらことばがつく自然災害が珍しくなくなってしまった。今年も、茨城県で鬼怒川が氾濫したり、南西諸島を巨大台風が襲ったり。その中でも火山活動の活発化は目を引いた。気象庁が神奈川県箱根山の噴火警戒レベル2を発令したのが5月。大涌谷周辺の立ち入り規制が始まり、その後一時3にまで引き上げられ、現在は1にまで下げられた。鹿児島県では、人的被害はほとんどなかったものの口永良部島が噴火、桜島では噴火警戒レベルが一時4にまで引き上げられた。熊本県の阿蘇も9月に小規模噴火、蔵王、浅間山などでも警戒レベルが上がり、観光に影響があった。

前頭筆頭は「高野山開創1200年」と「耐震改修問題」。欧米人にも人気がある高野山。その効果は和歌山県はもちろん、奈良県や三重県などにも波及している。和歌山県では来年、九度山にゆかりのある真田幸村が主人公の大河ドラマ「真田丸」の放送で注目度の継続をねらう。耐震改修は、改修をあきらめて廃業する旅館、自治体によって補助金がまちまちなことなどが宿泊業界を揺るがした。

高野山

高野山は開創1200年で
多くの人が拝観

前頭二枚目には、乗り物ネタが並んだ。今年も各地で「観光列車」がデビュー。沿線の魅力を凝縮したJR西日本「花嫁のれん」、JR九州「或る列車」など個性的な列車が旅の魅力を高めた。インバウンド急増の一端を支える「クルーズ客船の寄港」。横浜や神戸、博多といった大都市圏の港だけではなく、地方港にも多くの外航クルーズ客船が寄港するようになった。ただ、クルーズ乗客をオプショナルツアーへ連れていく際に、貸切バスの運転士不足が懸念される事態もみられた。

そのほか番付には、観光庁が毎月発表する主要旅行業者取扱実績で、国内旅行の前年同月比超えが続いていること、20年の東京五輪を見据え合宿誘致を表明する自治体が増えてきたこと、地方創生を持続的に進める組織として日本版DMOが今年に入ってがぜん目立ってきたことなどを載せてみた。

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