中国客フィーバー続く(3) ホワイトカラー層増とクルーズ人気
また、中国経済が第二次産業から第三次産業にシフトするなかで、ホワイトカラー層が増加し「サラリーマンやOLは毎年所得が上がり安心して生活している」状況だという。具体的には毎年、地方政府主導で給料が引き上げられている実態がある。今年も北京市で10.5%増、上海市で8.3%増、広東省で8.5%のベースアップが図られている。
マルチビザ発給の対象者も増加
平均給与額も上昇していることで、個人観光ビザの発給数が増えているなか、昨年1月に日本政府が行った中国人に対するビザ発給要件緩和の1つ「相当の高所得者に有する者とその家族」に対するマルチビザ発給の対象者も増えているという。
一方、原口上海事務所長は「15年は中国からの訪日クルーズ客が初めて100万人を超えた年」と話すなど、好調な訪日クルーズの動向を中心に解説した。クルーズ旅行代金が4万円程度からと安いことや、乗客が4000人に上る団体旅行だという心理的安心感が言葉の不安などを払しょくし、気軽に初めての海外旅行として参加できることから人気になっている。
また、訪日クルーズを制度面で後押ししたのが、昨年1月に始まった「船舶観光上陸許可制度」。政府がクルーズ誘致の手段として設けた制度で、法務大臣が指定するクルーズ船を対象に乗客のビザを免除している。日本側寄港地の貸切バスや通訳ガイド不足などの課題もあるが、訪日クルーズ人気も一段と高まりそうだ。