宿泊する必然性つくる―奈良県の取り組み(2) 県南北の"動線"で滞在促す
「奈良県にはいいものがたくさんありますが、県北部に観光客が偏り、大阪や京都を拠点にした日帰りが主です。いいものへ実際に行ってもらうためには滞在してもらう必要がありました」。こう話すのは奈良県ビジターズビューローの川村泰正商品企画販売部長。
奈良駅と大和八木駅 2つのゲートを定着させる
昨年4月に赴任してから、興福寺・阿修羅像の早朝特別拝観など、滞在につなげるコンテンツを開発する一方で「足をつけて商品にしないと世の中への提案にならない」と考えていた。
しかバスは、その足を確保し、出発地を県中部の近鉄・大和八木駅に設定したのがポイント。大和八木駅は、大阪難波から約30分、京都から約50分、名古屋から約110分と近鉄一本で来ることができる。関西国際空港からもリムジンバスで約60分と、まさに交通の要衝にある。
「いずれのバスも11時30分出発に統一しています。首都圏を朝出発し、乗車可能な設定です」。首都圏での奈良人気は根強く、そうしたコアファンの乗車を視野に入れた。
多くのバスはJRと近鉄の奈良駅に夕方到着する。「まだ大仏も鹿も見ていないから泊まってもらうことを期待しています。もう一つは県中南部と北部の動線をつくり、大阪のキタとミナミのように、奈良駅と大和八木駅の2つのゲートを定着させたい」という。