全旅連青年部・桑田雅之部長に聞く-民泊対応と今期活動(4) 世界へRYOKAN発信
―民泊問題以外の活動について伺います。
最初に、この4月に起きた熊本地震の際には熊本を中心に九州全域で大きな被害を受けられた皆様にはいち早く元の状況に戻られることを心からお祈りしています。
OTAとは協調路線へ
私は今期、6つの重点事業を掲げました。政策的課題への取り組み、客室の流通課題への取り組み、インバウンドへの取り組み、組織の見える化への取り組み、若手経営者の育成、宿泊業界のイメージアップの取り組みの6つです。1期2年では完結できない課題ばかりですが、7人の副部長と8委員会がしっかりと成果を出してくれたと思っています。
インバウンドへの取り組みは、前期の山口部長時代から海外で開催される旅行博に有志で参加し、RYOKANをアピールしてきました。今期もインバウンド委員会を中心にミラノ万博や、バンコクで開催された「ジャパン・エキスポ・タイランド2016」などに、旅館を体感できるようなブースを出展しました。来年も継続して参加する予定です。
日本も含め国際旅行が隆盛を迎えるなかで、世界で唯一の宿泊形態である旅館をもっと知ってもらおうと始めた取り組みですが、旅館を売ることは地域の活性化、地域創生につながるとも考えています。宿泊するだけで日本の伝統文化を体験できる旅館は、地方にこそたくさんあります。ただ、言語の問題などで外国人の宿泊受け入れに躊躇している旅館が地方にはまだ多くありますので、訪日客受け入れのための教科書をインバウンド委員会が現在制作中です。全国大会で配布できると聞いています。
―比較的、今期はOTA関連のネガティブな話題はなかったようです。
OTAとの関係は、客室の流通課題の1つとして捉えています。例えば、青年部で独自の客室在庫システムや、ダイレクトマーケティングといった独自の販路を構築できないかといったことなど将来的な課題もあります。ただ、現実にはOTA経由が予約の一定部分以上を占めている旅館ホテルがほとんどです。それだけ彼らは我々に対して影響力を持っている。困るのは、これだけ相互依存している関係にありながら、いきなり手数料率やポイント制、クレジット決済の変更などが、いきなり既定路線として発表されたりすることです。前期はこういったことが重なり、青年部はOTAと対決路線に踏み込まざるを得ない状況にありました。
今は話し合いの場が定期的に開かれています。じゃらん、楽天トラベル、一休、JTB、KNTといった会社とは3カ月に1回程度意見を交換しています。対立から協調へといった関係ができつつあると思っています。