訪日客6千万人は可能(2) アクセシビリティ整備が課題
「訪日旅行者6千万人も可能。約束する」と話したリファイUNWTO事務局長。2013年、当時のJATA国際観光会議で、20年までに訪日旅行者を2千万人とする目標を「日本人らしく控えめな数字。3千万人はいける」と、笑顔で上方修正を迫った慧眼に国内観光関係者の信頼は厚い。
国際観光の持続的な成長のために
UNWTOによると15年の国際観光客数は12億人。30年には18億人、35年には20億人と予測し、なかでもアジアの成長が著しいと楽観的だ。
こうした国際観光市場にあって、今年1―8月の累計が15年に比べ25%増と伸びていることなど、ここ数年の訪日旅行者の爆発的な伸びに関しても「他国には見られない高い伸びだが、健全な成長」だと位置づける。
その上で、リファイ氏は、今度は責任にも目を向けようと呼びかけた。
「12億人が他国を訪問し、産業としても重要な経済分野になった今、ツーリズム業界が世界をよりよい場所に変えていこう」
国際観光の持続的な成長のために、リファイ氏が社会への貢献策、課題としてあげたのがアクセシビリティ。誰もが国際観光に参加できる環境の整備だ。
「高齢やなんらかの障害のために旅を楽しめない人が、全世界の人口の15%います。80歳でも90歳でも旅をしたいというニーズを満たしたい。10億人規模のビジネスチャンスを失ってはならない」
ICTやVRを活用した情報提供、まちなかの移動の容易化、あらゆる人のアクセスを考慮したホテルづくりなどでイノベイティブな取り組みの必要性を指摘しながら「17年は持続可能な観光の国際年です。業界のことだけでなく、社会や世界のことを考えながら前進しましょう」。